(ブルームバーグ):ビニールハウスで野菜などを栽培する施設園芸の世界市場は2035年までに2兆円強に成長する。そう予測する自動車部品メーカー世界2位のデンソーが自社が持つ工業化技術の導入による「農場の工場化」に向け動き出した。

デンソーでフードバリューチェーン事業を担当する向井康上席執行幹部は24日のインタビューで、労働力不足に伴い自動収穫などの農業機器の導入は拡大が見込まれるほか、気候変動への懸念の高まりを背景に気象条件に左右されない施設園芸の市場全体の成長も期待できると述べた。

デンソーのトマト自動収穫ロボット


施設園芸の建設・機器関連の現状の市場規模7000億円強に対し、デンソーのシェアは2%程度にとどまるが今後拡大を目指していくと向井氏は説明した。具体的な水準については言及を控えた。

トヨタ自動車グループの部品メーカーとして売上高の大部分を自動車関連事業で稼ぐデンソーは昨年、新事業領域を「第2の柱」として確立する方針を打ち出し、2030年度に売上高3000億円、35年度には売上高全体の20%とする目標を立てた。農業はその一翼を担うとし、施設園芸にデンソーが持つ自動化や空調技術などを導入し高い生産性の農場を実現することを目指している。


昨年に完全子会社化したオランダの施設園芸事業会社のセルトングループと5月に房取りミニトマトの全自動収穫ロボットの受注を欧州で開始。向井氏によると、向こう3年間で300台販売することを目指している。今後は北米などに販売地域を拡大し、対象とする品種や収穫以外の作業にも広げていきたいという。

セルトンの最高経営責任者を務めるロッテ・ヴァン・ライン氏は、「われわれの技術で栽培可能な作物であれば、世界中どこでも温室を建設することができる」と述べた。また、気候変動、水不足、労働力不足などを背景に農業をより効率化する必要があるとし、長期的な作物の供給のためには「より多くの技術が必要であることは間違いない」と続けた。

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