(ブルームバーグ): 25日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=153円台後半と前日夕から大幅上昇し、2カ月半ぶりの高値圏で推移。日本銀行が来週の金融政策決定会合で追加利上げを議論するとの報道や自民党の茂木敏充幹事長の発言を受け、円売りポジションを巻き戻す動きが加速した。円は連日の全面高で、リスク環境も悪化する中、一段の円高進行が警戒される。
鈴木俊一財務相は25日、主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見で「為替の水準や動きについて財務相としてコメントすると、市場に不測の影響を与える恐れがある」と述べるにとどめた。神田真人財務官によると、G7会合では為替について特段の議論は行われなかったという。
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、来週の日銀利上げの有無や米国の大統領選など先行き不透明感が強く、「ドル・円やクロス円など、完全に円キャリー取引を巻き戻す展開になっている」と指摘。株式市場の不安定な状況もポジション解消要因だとした上で、「行き過ぎ感もあるため、来週の日銀会合に向けてとことん円買いで攻めるかどうかは分からない」と述べた。
24日の円相場は、東京市場の仲値に向けて156円付近まで下げた後上昇に転じ、100日移動平均線や節目の155円など重要な水準を超えて円高が加速。海外市場に入って日銀会合を巡る報道や茂木幹事長の円についての発言が伝わると153円台前半まで上昇した。4月の終わりから5月にかけて政府・日銀の円買い介入が実施された後の高値水準に近づいている。
25日の東京市場では、来週の日銀決定会合に向けて追加利上げへの警戒を強める展開が予想される。事業会社の決済が集中する五・十日(ごとおび)に当たり、実需の取引も注視される。
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