各地で眠る観光資源である地方の大自然を活用するべく、政府は19日、2031年までに、全国35の国立公園すべてに高級リゾートホテルなどを誘致する方針を示した。
地元関係者からは、誘致への不安の声も上がっている。
都市部集中の観光客分散させる狙い
日本を満喫中の外国人観光客が絶賛する、“日本の大自然”。
この記事の画像(22枚)アメリカから来たという観光客は、「日本の魅力は自然が多いところ。2週間北海道で過ごしたけど、ドライブして積丹岬に行った。海や岩がきれいだったよ」と振り返る。
一方、オランダから来たという観光客は「四国でお遍路さん巡りをします。自然がスバラシイから」と笑顔で話した。
各地で眠る観光資源、地方の大自然を活用へーー。
政府は2031年までに、全国35の国立公園すべてに高級リゾートホテルなどを誘致する方針を示した。
2024年上半期の訪日外国人は約1778万人と、過去最多に。
一方で、訪問先は都市部に集中していた。
地方滞在の魅力を向上させ、観光客を分散させる狙いだ。
国立公園に高級リゾートホテル?
専門家が注目しているのが、次の3カ所だ。
航空・旅行アナリスト鳥海高太朗さんが選ぶ、
リゾートホテルができて人気が出そうな国立公園ベスト3
1.利尻礼文サロベツ国立公園(北海道)
2.尾瀬国立公園(福島・栃木・群馬・新潟)
3.大山隠岐国立公園(鳥取・島根・岡山)
中でも国内最北、利尻島を中心とした北海道の“秘境”『利尻礼文サロベツ国立公園』は、かなりの観光客増加が期待できるとしている。
航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗さん:
今、高級ホテルがほとんどない中で、新しいホテルがこの国立公園の中に進出することによって、そこを訪れる、島を訪れる人自体が増えるという期待というのがあります。
さらに日本最大の美しい湿原を散策できる『尾瀬国立公園』や、連なる山々など雄大な自然が満喫できる『大山隠岐国立公園』に高級リゾートホテルができれば、大きな利益になるとしている。
一方で、世界遺産にも指定された東京の小笠原諸島や、鹿児島県の屋久島などの国立公園では、“懸念すべき点”があると指摘している。
航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗さん:
世界遺産の場合も含めて、景観を乱す可能性がある宿泊施設の場合は、ちょっと難しいのかなという部分も含めて、慎重に適切に議論していかなければいけない。
国立公園の地元からは不安の声
イット!は東京都心から一番近い国立公園『秩父多摩甲斐国立公園』に向かった。
国立公園内にある御岳山の山頂に建つ「武蔵御嶽神社」では、ホテル誘致による外国人観光客の増加に、期待と不安が入り混じっていた。
武蔵御嶽神社の御師・須﨑 茂樹さんは、「私個人の意見とすれば、地元が潤っていただければありがたい。けれども、それによって、やはり国立公園、自然を守るって観点もあるので、一概にドンドン建ててとは言えない」と語る。
地元で150年続くという旅館からも、高級リゾートホテル誘致への不安の声が上がった。
宿坊 能保利 大女将:
反対です。だって山の良さがなくなっちゃう。みんなそれぞれ、小さいおうちで(宿を)個々にやってますでしょ。(高級ホテルの)大きいのが来たら太刀打ちできない。
政府は地元の理解を得ながら、宿泊施設の誘致などを進めたいとしている。
(「イット!」7月19日放送より)
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