渋谷駅前の「SHIBUYA TSUTAYA」でも新しいVポイントをPR(筆者撮影)この記事の画像を見る(5枚)

カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が運営する「Tポイント」と三井住友カードの「Vポイント」が統合した「青と黄色のVポイント」が、4月22日にスタートする。これによって今までのTポイントやVポイントはどうなるのか? 気になる新しいVポイントのサービスについて解説する。

TポイントとVポイントについておさらい

Tポイントは2003年からいち早くサービスを開始した共通ポイントのパイオニア。そのため認知度が高く、約7000万人のアクティブユーザーを抱える。その一方で加盟店は国内15万店に止まり、近年ではポイントの強みにやや陰りが出つつあった。

その大きな理由として、2019年11月に大手コンビニの中で唯一、Tポイントが貯まるファミリーマートがマルチポイントを開始し、dポイントや楽天ポイントでもポイントが貯まるようになったことが挙げられる。

加えて2022年3月末には、通話や通信料で貯まっていたソフトバンクのTポイントの付与が終了。新しいポイントの「ソフトバンクポイント」(PayPayポイントに交換可能)へと移行した。

その時には楽天モバイルは楽天ポイント、ドコモはdポイント、auはPontaという体制が出来上がっていたので、Tポイントは携帯キャリアの後ろ盾を持たない形になった。このことからTポイントの先行きが不安視されていたところ、2023年6月にVポイントとの統合が発表されたというわけだ。

一方、Vポイントは三井住友カードの利用で貯まる「ワールドプレゼントポイント」を、2020年6月に改定したもの。その時に三井住友銀行のサービスの利用でもVポイントが貯まるようになり、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)の共通ポイントとなった。

三井住友カードが発行するVisa・Mastercardは、国内750万店、世界200以上の国と地域にある1億店以上(Visaの場合)で利用でき、国内外の多くの加盟店でVポイントが貯まる。とはいえSMFGのサービスに限られることから、アクティブユーザーは1600万人と、他の共通ポイントに比べて少なかった。

そんなTポイントとVポイントが統合することで、会員数8600万人(重複あり)という日本最大規模のポイントサービスが誕生する。加盟店も国内750万店、世界1億店以上と国内外に大きく広がり、ポイントが貯まりやすく、使いやすくなる。

新しい「Vポイント」はいったいどうなる?

新しいVポイントのロゴには、Tポイントのイメージカラーの青と黄色を採用。「T」の文字が「V」に変わり、青と黄色のVポイントになった。

TポイントとVポイントが統合して青と黄色のVポイントが誕生(画像:Tサイトより)

CCCグループとSMBCグループは資本・業務提携を実施。SMBCグループが資本参画して、CCC傘下のCCCMKホールディングスの株式をCCCが60%、SMFGと三井住友カードが40%を保有する形で協業する。ポイント事業やマーケティング事業に関しては、CCCMKホールディングスと三井住友カードで業務を担う。

4月22日にはTポイントの名称とロゴがVポイントに変わり、「Tサイト[Tポイント/Tカード]」は「Vポイントサイト」、「Tモール」は「Vポイントモール」など、各種サービス名称が「V」の付く名称に変更になる。

また、「Tポイントアプリ」は「Vポイントアプリ」に。「Vポイントアプリ」は「VポイントPayアプリ」にアップデートする。そして三井住友カードの「Vpassアプリ」や「三井住友銀行アプリ」では、「モバイルTカード」から変更された「モバイルVカード」が表示できるようになる。

Tポイントという名称はなくなってしまうものの、従来のTポイントのサービス内容に変更はなく、これまで通り利用できる。Tポイント加盟店もそのままで、4月22日からはすき家、なか卯、ロッテリアなど、新たな加盟店が加わる。

新しい「Vポイント」はどう使う?

4月22日から加わる新しい加盟店の一部(画像:Tサイトより)●貯め方

新しいVポイントは、従来のTポイント加盟店と、世界中のVisaまたはMastercard加盟店でポイントが貯まる。両方の加盟店の場合、ダブルでポイントが貯まるので、ポイントが貯まりやすくなる。VポイントPayアプリや三井住友カードで決済する前に、モバイルVカードのバーコードを忘れずに提示しよう。

バーコードの提示はやや面倒に感じるものの、この動作はいずれアプリでタッチするだけでポイントがもらえ、支払いも完了するワンオペレーションになる予定だ。

今までプラスチックのTカードを使っている人は、4月22日以降もそのままのカードで従来のTポイント加盟店でポイントが貯まる。モバイルTカードを使っている人も同様で、VポイントPayアプリなどからTポイントを連携することでポイントが合算できる。合算後はVポイントPayアプリにもモバイルVカードが搭載されているので、利用するアプリを1つに集約することができる。

TポイントアプリとVポイントアプリ(筆者撮影)

TカードやモバイルTカードのみ利用している人なら、三井住友カードに入会することでVポイントが貯まりやすくなる。例えば、年会費永年無料の「三井住友カード(NL)」の場合、対象のコンビニや飲食店でのスマホのタッチ決済で最大7%のポイント還元が期待できる。

ナンバーレスの三井住友カード(NL) (画像:三井住友カード公式サイトより)

なおVポイントが付与されるのは三井住友カードのプロパーカードのみで、ANAやAmazonなどとの提携カードでは対象外となる。

●使い方

貯めたVポイントは1ポイント=1円分として、従来のTポイント加盟店と、世界中のVisa・Mastercard加盟店で使うことができる。VポイントPayアプリでポイントを残高に移行することができるので、スマホのタッチ決済で簡単にポイントが使える。

三井住友銀行が提供する「Oliveアカウント」に登録すると、ポイント投資やポイント支払いにもVポイントを利用することができる。

新しい「Vポイント」のメリットは?

効率よくポイ活をしようと思ったら、いずれかの共通ポイントに狙いを定め、日々の暮らしの買い物やサービスの利用を、そのポイント経済圏の中でやりくりするのがいい。とはいえあまり熱心になり過ぎると、わざわざポイント加盟店まで行って購入したり、キャンペーン期間中にまとめ買いしたりと、ポイント重視の行動になってしまいがちだ。

そんなポイント経済圏に縛られるということが、新しいVポイントにはない。Visa・Mastercardのクレジットカードは国内外の1億店以上の加盟店で利用できるので、わざわざ店舗を選ばなくても、普通に買い物しているだけで自然とポイントが付いてくるような印象なのだ。

ユーザーにとって新たな選択肢が生まれた一方で、共通ポイント各社にとっては、新しいVポイントは脅威になるので、ポイント競争がさらに激化することが予想される。新しいVポイントはユーザーやポイント業界にどれほどの影響を与えられるのか、今後の動きからも目が離せない。

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