コメの収穫の際に出て厄介者とされていた「もみ殻」を活用し、バイオマス熱を供給するプラントが秋田県大潟村に完成し、17日に竣工式が行われた。バイオマス熱供給は全国で初めての取り組みで、環境省の副大臣が視察した。

大潟村で行われたプラントの竣工式には、村の関係者約60人が出席した。

式では、事業を行うオーリスの高橋浩人社長が「今後、稲作地帯にこの技術が普及することを願っている。将来の子どもたちのためにも、自然エネルギー100%の村づくりへの挑戦を続けていく」と述べた。

大潟村で始まったバイオマス熱供給事業は、村と民間企業が共同で設立した地域エネルギー会社「オーリス」などが行っている。

もみ殻バイオマス熱ボイラーは、コメの収穫の際に大量に出る「もみ殻」を燃料として90度の湯を沸かす。この湯は、3.5kmほどの熱導管を通して、村内のホテルや温泉施設、小・中学校など5カ所に供給され、暖房や給湯として活用される。

大潟村は基幹産業が稲作で、約1万ヘクタールの農地のほとんどが水田。コメの収穫の後には、もみ殻が年間1万4000トンほど発生し、処理にかかる費用は農家の負担になっていた。

17日は環境省の八木哲也副大臣が視察した。大潟村は、2022年4月に環境省の「脱炭素先行地域」に選定され、2030年度までの脱炭素化を目指している。

ボイラーの燃料に使ったもみ殻は「くん炭」として農業で再利用され、温室効果ガスの削減につながる。くん炭を手にした八木副大臣は、大潟村で進む先進的な取り組みに期待を寄せていた。

記者から、視察で最も印象に残ったことを問われると、八木副大臣は「燃料に使ったもみ殻をくん炭にして土壌材として使っていることが、サスティナブルの一端を担っているという思いがした」と述べた。

もみ殻バイオマス熱供給事業は、9月中旬に商用運転が始まる予定。

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