(ブルームバーグ): 11日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=161円台半ばと前日夕から小幅下落して推移。米国でパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言を受けて年内利下げ期待が維持され、リスク選好の流れから低金利の円を売ってドルを買う需要が根強い。

  一方、約38年ぶりの安値圏で介入警戒感が高まる上、日本時間夜に発表される米消費者物価指数(CPI)を見極める雰囲気も広がりやすく、円の下値は限られている。

  SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、パウエル議長は労働市場の減速に懸念を示す一方で、インフレがどこまで鈍化すれば利下げなのか「ヒントがなかった」と指摘。日米金利差があまり縮小していない中で、「特に日本株高の場合はキャリー取引の需要が高まりやすい」と述べた。

  パウエル議長は10日に米下院で証言したが、市場で9月の利下げ期待は7割程度で変わらなかった。円はイングランド銀行(英中央銀行)チーフエコノミストの発言を受けて対ポンドで売りが加速するなど、クロス円を中心に売られ、対ドルでも一時161円80銭台と約38年ぶりの安値161円95銭に接近する場面があった。

  11日の東京市場では投資家心理の改善による円キャリー取引の需要が見込まれる一方、161円台後半では介入警戒感が円売りを抑えそうだ。米利下げ開始時期を占う上で重視される6月のCPI発表を前に、積極的な取引が控えられる可能性もある。SBILMの上田氏は「コアCPIが予想通りの鈍化ならドル・円の反応は限られる」との見方を示した。

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