女性管理職を増やす鍵は、採用・育成・登用の公平性にあるようです。
働き方先進国・オランダ発祥の「ランスタッド」が、女性管理職比率を20%以上保つ秘訣(ひけつ)とは?
5月上旬、横浜・ぷかりさん橋に着岸しているのは、初来日の美しい帆船「クリッパー・スタッド・アムステルダム号」です。
オランダ発祥の総合人材サービス会社「ランスタッド」がアムステルダム市と共同保有しており、船の建造時には失業者の職業トレーニングの場として活用しています。
また、若者をクルーとして登用するなど、雇用支援に寄与した帆船です。
その帆船の中で行われていたのは、「ランスタッド」が主催する“女性管理職”に向けたシンポジウムです。
さまざまな業種の参加者が、お互いの職場での“働き方について”ディスカッションを行っていました。
世界経済フォーラムが発表した「ジェンダー・ギャップ指数(2024)」では、日本は146カ国中118位。
また2023年、厚生労働省が発表した「女性管理職(課長相当職以上)の割合」は12.7%と、世界と比べ、日本はいまだ男女格差が大きいという結果に。
そんな中、「ランスタッド」は日本国内でも女性管理職比率28%と高い水準を保っており、その秘訣は社内での取り組みにあると言います。
それは、採用・育成・登用での“エクイティー(公平性)”を中心とした取り組み。
まず、採用プロセスではジョブ型の人事制度を採用。
新たなポジションの人選時、男女双方の候補者を立てると同時に、面接官に女性を1人は必ず入れることで、同様のタイプの候補者が登用され続けてしまうことを避けます。
また、育成プロセスでは、上司と部下が課題やキャリアステップについて話すだけでなく、管理職への興味を醸成し、次期候補者の背中を押すサポートも行っています。
さらに登用プロセスでは、部署ごとに管理職候補者の「パフォーマンス」「ポテンシャル」を見える化し、2つの軸で評価します。
人事と管理職の上司複数人で評価のすり合わせを行い、その後、候補者のポテンシャルや能力を育成し、キャリア形成や管理職への興味につなげています。
ランスタッド社員からは、「(キャリアについて)自分も考えるようになりましたし、部下にも考えてもらうきっかけになったという意味では、すごくいい機会を作ってもらってるなと」「(同性管理職がいる環境は)自分もどれぐらい頑張ればその人みたいになれるとかは、すごく働きやすいしイメージもしやすい」という声が聞かれました。
多様な職場環境が生まれるエクイティーな取り組みが、女性管理職比率の上昇へとつながったと言います。
ランスタッド人事本部 ED&チームマネージャー・松村栄子さんは「(女性社員は)ほとんど自分がマネージャーになるようなイメージを持っていないですし、なれるともあまり思っていない。ただ上司側から見ると十分能力がある。『あなたにきちんと期待しています』ということを伝えて、その本人の意欲を高める。そういったカルチャーをつくり出しているのかなというふうに思っています」と話しました。
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