3日、20年ぶりとなる新たな紙幣が発行されました。いち早く紙幣を手にした人たちの「使い道」を取材しました。

■20年ぶり新紙幣 各地で長蛇の列

 銀行のATMの前で、新しい紙幣の両替を今か今かと待つ大勢の人々。

 3日午前10時の埼玉りそな銀行。男性が財布からお札を取り出し両替機へ。3万6000円分を新紙幣に両替。

この銀行で最初に新紙幣に両替した男性
「全部で10枚です。僕はとっておきます。記念に。流通してきたら積極的に使おうと思います」

 新しい紙幣の発行は2004年以来、20年ぶりです。

 新しい紙幣の“顔”となる3人の偉人。1万円札は実業家の渋沢栄一。5千円札は教育家の津田梅子。千円札は細菌学者の北里柴三郎です。

 新紙幣では偽造防止対策を強化。お札を左右に傾けると肖像の横顔が見える3Dホログラムを世界で初めて紙幣に採用しました。

 1兆6000億円分の新紙幣が日本銀行からそれぞれの金融機関へと運ばれます。

■渋沢栄一ゆかりの地は“歓喜”

 渋沢栄一の地元・埼玉県深谷市では銀行の外まで長蛇の列ができています。

埼玉・川口市から6時間並んだ男性
「待ち遠しかった。手にしてうれしい」

 20年に一度のフィーバーに人々の心も躍ります。

 メガバンクのほとんどが原則、両替は4日からですが、都内では3日から新紙幣の両替を始める金融機関もあります。

神奈川・藤沢市から 70代の人
「家を午前4時ごろ出たので、着いたのが午前6時50分くらい」

 渋沢栄一ゆかりの地、東京・北区にある城北信用金庫の通称「しぶさわくん支店」です。

城北信用金庫コミュニケーション開発事業部 溝口珠希さん
「渋沢栄一が30年以上住んでいたゆかりの地でもあるので、地域の方々に渋沢栄一が写っている新1万円札を使ってほしい」

■新紙幣何に使う?入手した人を密着

 新紙幣を手に入れた人々は、何に使うのでしょうか。

神奈川・藤沢市から 70代の人
「来週の水曜日に暑気払いがある。その会費が1000円なので会費を新札で払おうかなと。皆を喜ばせようかなと」

横浜市から来た人
「津田梅子にあやかって。学問で業績を残したでしょ、津田梅子は。津田梅子さん、私の文系の学問の上達に力を貸してくれよ!よし!」

 新紙幣を早速使う人もいます。手元にあったお札をすべて新しい紙幣に替えた大学生は…。

大学生 山崎光徒さん(20)
「今、キャッシュレスが進んでいてPayPayなどの機会も増えているが、お札の重み、手に取ってみると実感するものがある。だからこそ(紙幣を)この先使いたい気持ちも増えた」

 友人と一緒に、銭湯へ。ところが…。

友人
「新紙幣使える?」

 券売機に新1万円札を入れると…。

山崎さん
「使えない」
友人
「両替しよう」
山崎さん
「新紙幣で使いたいんですけど」
店員
「両替させていただきます」

 新紙幣の対応が追い付いていない店舗も多いのが現状です。

山崎さん
「不思議な感覚だった。いつもは券売機で買えるけど、手渡しでという感覚で新しかった」

 一方、お札を大切に保管する人もいます。新紙幣を手に拝む82歳の女性。実は特別な思いが…。

馬場よう子さん
「7月3日が義母の85歳で亡くなった命日。たまたま新札が出るのが命日だし、忘れられないわね。こんなことってめったにない」

 7月3日に亡くなった義理の母親は、紙幣や硬貨を収集するのが趣味だったといいます。

馬場さん
「これ昔のお札」

 こちらの1万円札は聖徳太子。1958年から発行されていたお札です。

馬場さん
「聖徳太子だから5000円」

 当時は、5千円札も聖徳太子でした。現在は娘がコレクションを引き継いでいるといいます。

馬場さん
「娘にきょうあげようと思っている」

■20年ぶり新紙幣 「お得割」も開始

 新紙幣発行を記念した「お得割」も始まっています。福島県にある野口英世ゆかりの宿では、およそ1万円の宿泊費が割引で一人あたり1000円に。

渡部英一社長
「野口英世を忘れないでほしい。偉業をこれからも継承していく」

 東京の百貨店では1万2000円相当の豪華な海鮮丼が1万円きっかりに。他にも5000円ぴったりのローストビーフや、1000円ぽっきりのひつまぶし弁当などがそろいます。


「1000円ぴったりで元気も出そうなので、ウナギにした」

大丸東京店 営業推進部 中西正明さん
「釣り銭のやり取りがわずらわしいという人もいるので、税込み1000円、5000円、1万円ぴったりにすることで、そのわずらわしさを解消できるメリットもある。お客様に喜んでもらっていると思う」

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