新紙幣が7月3日に発行されるまであと1週間に迫った。県内では、紙幣を扱う機器の更新を既に終えた事業者がある一方、間に合わない事業者もあり、「費用負担が重い」といった悲鳴が上がる。キャッシュレス化も進むが、日本銀行は「誰でも安心して使える現金は決済手段として引き続き大きな役割を果たす」と意義を強調する。(政経部・大城大輔、村井規儀、大川藍、金城紅映)
県内地銀3行のATMや両替機、スーパー大手のサンエーやイオン琉球のレジは対応を終えた。
沖縄バスは、145台ある路線バス車両の運賃箱全ての改修を7月3日ごろに終える見込みで、改修費は数千万円。豊見城営業所の整備工場では半導体不足などが原因で交換用機材の搬入が遅れ「急ピッチで交換作業を進めている」(担当者)という。
一方、那覇バスの路線バスは7月3日時点で対応していない。担当者は「使えないことを周知し、お客さまに理解を求めていきたい」と話す。今後は状況を見ながら検討する。
沖縄都市モノレールは券売機の改修を進めており、各駅に1台ずつ対応機を設置する。全台の改修は直近で予定していないという。 人手不足もあり、券売機を導入している飲食店は多い。やっぱりステーキを展開するディーズプランニングは、20日時点で4~5店舗の券売機を新紙幣対応にしたが、まだ全体の10分の1ほど。完全に対応できるのは10月ごろを見込んでいる。紙幣が使えない場合は電子マネーの利用を促す方針だ。担当者は「現金利用客のためにも新紙幣対応を進める」と話した。
飲料自動販売機を展開するミリオンは、県内に約4500台を設置している。今週末から販売頻度の高い自動販売機を中心に更新作業を始める。全てを更新するには半年を見込むが、20年前の紙幣刷新の経験から「一斉に新紙幣に切り替わることはなく、まず大丈夫だろう」とみる。
同社は北海道や東京・関東、関西、九州など全国各地にも約2500台を設置している。「全ての更新コストは億近くになる。コロナ禍からの回復期にコスト増は厳しいが、千円札に対応できないと売り上げが落ちる。仕方ない」と話した。
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