住宅に占める空き家の割合、空き家率が5年ぶりにまとまりました。岡山・香川ともに過去最高となり、全国平均を上回りました。背景に何があるのでしょう。担当は前川記者です。
(前川裕喜記者)
まずはこの数字をご覧ください。岡山が16.4%、香川が18.5%。空き家率を示していて、香川だと5軒のうち1軒近くが空き家という数字です。
(岸下恵介キャスター)
私は高松市出身ですが、親戚からは空き家が増えたり、それに伴って耕作放棄地が増えたりという話を聞きますね。
(前川裕喜記者)
調査は総務省が5年ごとに行っています。今回、全国では空き家が過去最多の約900万戸となり、空き家率も13.8%と過去最高となりました。
空き家率が最も高いのは、和歌山と徳島の21.2%、岡山・香川は、ここまでではありませんが、全国平均より上回っています。
(中塚美緒キャスター)
空き家はどうして増えるんですか。
(前川裕喜記者)
人口減少が最大の原因ですが、空き家の所有者に話を聞いてみました。
総社市秦地区にある庭付きの木造住宅です。築50年以上で、農村部で見られる大きな座敷を持ちますが、4年ほど前から空き家になっています。
(空き家の所有者 糸島義政さん)
「私の母親と父親が住んでいた。(Q、亡くなれてからはどうしようと?)何も考えていない。そのうち朽ちたらどうにかなるかなと。倒すか何か…」
(前川裕喜記者)
親族が亡くなってから、家をどうするか悩むケースも多いようです。糸島さん夫婦の場合、別の親族が住むかもという期待もあったそうですが実現しませんでした。日本人の感覚として「家のことは自分たちで考える問題」という意識も見えてきます。
(中塚美緒キャスター)
でも、根付いた感覚はそう変えられないですよね。
(前川裕喜記者)
この難しい部分にどうにかしようと挑戦している自治体を取材しました。
田んぼや山が広がる総社市山田地区です。約220軒のうち30軒ほどが空き家となっています。
(地元の山田地域コミュニティ協議会 金澤隆会長)
「(地域では)年間行事があり、ぜひ参加してほしい。役員の名簿を渡そうと思うので、必要があれば連絡してほしい」
地域の自治組織が所有者の承諾を得て空き家の情報を発信。移住を希望する人と直接、会って、空き家や地域のことを説明しています。
(空き家に移住を希望する 福山好希さん)
「(田んぼを)風が通る道が見える。それを見られればいいと思って(移住を希望)。こういう会を持ってもらってありがたい。本当に分からない。どういうところか。みなさんいい人だと信じて決めた」
(山田地域コミュニティ協議会 金澤隆会長)
「こういういい家が腐るのはもったいない。(移住者に)来てもらってみんなと仲良くしてくれたら最高」
空き家を個人の悩みにとどめず、受け止めて活用までつなげる。そういう地域を作ろうとしているのが総社市です。
2024年度から岡山県内では初めて、所有者と協力し空き家対策を行う自治組織に10万円を交付するなど、15のメニューで構成する制度を運用しています。これによって市内の自治組織の多くが、空き家マップを作るなど情報収集を始めています。地域にとっても空き家対策は、大きな意味を持っていました。
(総社市市街地町内会連合会 難波里司会長)
「空き家だと崩れたり瓦が落ちたりと防災上危険があった」
先ほど空き家の所有者として紹介した糸島さん夫婦も地域の自治組織の支援を受けることになりました。
(空き家の所有者 糸島妙子さん)
「昔、来た時は立派な家だなと思った。誰かいい人に住んでもらいたい気持ち」
今後の空き家対策の指針となりそうな取り組み。総社市は時間をかけて地域に協力を求めることが大切だと指摘します。
(総社市 片岡聡一市長)
「地域の人にいざなってもらわないとできない。これは地域の力を借りて市役所の職員をよろしくお願いしますと、そういう気持ちでやるしかない」
日本人に根付いている「家」の感覚はすぐには変えられません。しかし空き家が地域にもたらす影響を理解して、一人一人が考え続けることが必要と言えそうです。
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