“劇的に美味しくなった”と言われる「冷凍チャーハン」や「カップ麺」。その裏には世界からも注目される日本の技術がありました。中華料理人の技を再現し“革命を起こした”とも評されるチャーハンマシン!これまでは取材NGだった売上No1のカップ麺工場にも潜入!その“おいしい新技術”を探りました。

今アツい!「中華料理マシン」

「日本の食品機械が、今海外でもすごく注目されている」と話すのは、『月刊食品工場長』の統括デスク・木下猛統さん。

欧米やアジアも人手不足で、日本の食品製造マシーンが飛ぶように売れているといいます。また食品安全への関心の高まりもあり、食品機械の販売額は、2016年(5200億円)⇒2023年(6000億に!)

中でも今アツいのは「中華料理マシン」だといいます。

日本食糧新聞社『月刊食品工場長』木下さん:
「冷凍チャーハンの業界で、ものすごい革命を起こした機械があるんです」

職人の“あおり炒め”を再現した3枚の羽根

その革命的なチャーハン製造機を開発したのは、奈良県にある『品川工業所』。創業114年、菓子や惣菜など、食品を素早く大量に作る機械を製造しています。

「約3分で100人前のチャーハンが作れる」という新製品、「BR-1200F」(約900万円)。これまでと大きく違うのが炒め方です。

ひとつ前のチャーハン製造機は、大きなフライパンに入った米や具材を、上からのびたアームで水平に混ぜながら炒めていました。

しかし、「BR-1200F」では…

『品川工業所』社長 小笠原昭典さん:
「町中華で職人さんが中華鍋を振ってあおっている姿から着想した」
チャーハンが美味しい街中華に通いつめ、「お米が高く舞うことで、水分が飛び、パラパラになる!」と着想を得て、料理人の「あおり炒め」を機械で再現したのです。

チャーハンの水分を飛ばすことで、うま味が凝縮される「あおり炒め」。

それを可能にしたのが、アームについた、形も角度も違う3枚の羽根です。ねじれるように取り付けられた3枚の羽根が、回転しながら鍋からチャーハンをすくい上げることで、最大60cmの高さにチャーハンを舞いあげることができるんです。

1枚目の羽根が鍋中心部のチャーハンをすくい、2枚目の羽根がその外側を。3枚目が一番外側をすくい上げることで、全部のお米が舞い上がる仕組み。

「羽根の角度が少し違っても出来上がりが全然違う物になる」とのことで、試行錯誤を重ね2年かけて開発したあおり炒め機。冷凍食品メーカーやコンビニに続々導入されているといいます。

売上No1のカップ麺工場へ潜入!

さらに、中華の職人技を再現した新技術はカップ麺にも!

『月刊食品工場長』木下さん:
「職人が“麺を茹でて”作るラーメンを再現したんです。意外とそこをやっているメーカーは無い」

カップ麺の製造では、麺は蒸すのが一般的。茹でるより麺の水分量が減るので、乾燥させやすいのが理由です。

そんなカップ麺の常識を破り、茹で麺の“プリプリでコシのある食感”にこだわったのが、『ヤマダイ』。ご当地カップ麺シリーズ「凄麺」は、ノンフライカップ麺の全国売上No.1の大ヒット商品です。(※インテージSRI+カップ麺ノンフライ市場 2023年4月~2024年3月累計販売金額ベース)

どうやって、ゆで麺を、カップ麺にしたのか?木下さんはこれまで何度も取材を試みるも、「工場の中は取材NG」…

しかし、木下さんの長年の熱烈オファーが実り、初めて工場内部の取材がOKに!
「実は僕これから取材に行くんですよ」という木下さんに、THE TIME,も便乗させて頂きました!

「ゆでたての旨さ」の秘密は全長50mの乾燥レーン

茨城県にある『ヤマダイ』工場で作られている『凄麺』を調査!

まず案内されたのは、「凄麺を作る上での出発地点」というミキサー室。

上部にある巨大タンクから、これまた巨大な攪拌機に、小麦粉や、液体系、粉体が投入されています。

特別に撹拌機の中を見せてもらえることになり、「わくわく。わくわく」とはしゃぐ木下さんとTHE TIME,マーケティング部・重松文部員。
中華麺用の黄色っぽい粉が混ぜられている様子に「おおー!」と感激の声も。

小麦粉も徹底的にこだわり、小麦の風味が最大限引き出された麺を練り上げていました。

そして、木下さん注目の茹で麺機へ!
マシンの中では、湯がブクブクと沸き、麺が踊るように茹でられています。

『ヤマダイ』開発室リーダー 松澤伸明さん:
「町のラーメン屋さんもお店でしっかりと麺を茹でる。それを、工場レベルで再現してるというのが凄麺の製法」

コシのある最高の状態で取り出して湯切り。この段階で、つけ麺や、冷やし中華のような麺質になっているといいます。

続いての行程は「乾燥」。
一般的なノンフライ麺は、水分の少ない蒸し麺を熱風で乾燥させます。しかし茹で麺の場合、そうはいきません。

『ヤマダイ』松澤さん:
「茹で麺は水分をたくさん麺が含むので、乾燥させるのがノウハウになってきます」

他社には真似できない、水分の多いプリプリのゆで麺を乾燥させる“独自技術”。その秘密が潜む乾燥室へ…。

しかし残念!「企業秘密」とのことで、内部撮影はNGでした。
ただ、廊下の両側に長く続く乾燥室には、全長50mもの乾燥レーンがあるとのことで…

『月刊食品工場長』木下さん:
「もっと短い距離で一気に乾燥させてしまうと麺へのダメージがある?」

『ヤマダイ』松澤さん:
「その通りで、あまり早く乾燥させてしまうとダメージが起こってしまう。たかが乾燥なんですけど、されど乾燥」

10年以上かけてたどり着いた独自製法。これが「ゆでたての旨さ」を生み出していました。

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