今、タコの値段が上がっています。日本のソウルフード「タコ焼き」や、お寿司を扱う店舗の苦悩を取材しました。“庶民の味”が高級食材に変わってしまうのでしょうか。

■タコも高級食材に?輸入タコが高騰 モーリタニア産に異変

南波雅俊キャスター:
庶民の味「タコ」が高級食材に変わってしまった理由についてみていきたいと思います。

貿易統計から算出すると、輸入タコの価格が高騰しているということです。1キロあたりの価格が2013年は601円でしたが、2024年(1月~4月)は1453円と倍以上になっています。

スーパーで売られているタコに「モーリタニア産」と書かれているのを見かけたことはないでしょうか。輸入されているタコの3分の1は「モーリタニア産」だということです。

モーリタニアは海に面している国ですが、サハラ砂漠の一角にあり国土の4分の3は砂漠で、魚を食べる習慣がほとんどないということです。

JICAによりますと、モーリタニア近海は浅瀬が多くタコのエサとなる貝類が豊富で、生息に適しているといいます。1970年代からJICAが支援し、タコ壺漁法を指導したことがきっかけで、世界有数のタコの漁獲国となったということです。

しかし、モーリタニアでのタコの漁獲量は減少していて、全盛期と比べると約6割になっているということです。環境の変化や乱獲が原因とみられています。

海外からタコを輸入している水産会社「津久勝」によると、円安や燃料費の高騰も影響してタコの価格が高騰しているということです。イスラエル情勢もあり、スエズ運河が通れないため遠回りしなくてはならないので、距離も時間もかかることでより価格が高くなっているということです。

タコといえば身近な食べ物というイメージでしたが、変化しているようです。

日比麻音子キャスター:
たこ焼きのタコをチキンに代えているというたこ焼き店もあるようですが、いかがでしょうか。

宋美玄さん:
お寿司はタコ以外の具材でもいいと思いますが、たこ焼きはやはり「タコであってほしい」と思ってしまいます。「モーリタニア」という遠くから輸入しているのであれば値上げも納得ですが、明石や岡山などタコで有名な産地では足りないのでしょうか。

山内あゆキャスター:
国産のタコは本当に高くて、スーパーで売られているような価格ではないように思います。

日比キャスター:
タコに持っているイメージを変えて、心して国産タコをいただくという日が近づいているように感じます。

宋美玄さん:
私が子どものときはウナギも今のように高級食材ではありませんでしたが、あるときから「庶民の味ではない」というマインドセットになったように思います。タコも贅沢品になってしまうのかもしれませんね。

日比キャスター:
食卓の常識が変わり始めていますね。

■海外でタコの需要増、日本が“買い負け”か、「たこ焼き」どうなる

南波雅俊キャスター:
水産会社「津久勝」の津久浦裕之社長は、「海外でタコの需要が増えており、日本は“買い負け”している」としています。

欧米でタコは、「デビルフィッシュ(悪魔の魚)」といわれていて、食べる習慣はありませんでした。

大阪のたこ焼き屋さんで取材してみると、フランスから来た観光客がたこ焼きを食べて、「初めてタコを食べたけど、とっても美味しい!」と話していました。

「津久勝」の津久浦社長によると、今、アメリカなどでもタコの需要が増えているそうです。アメリカにはたこ焼きの専門店があったり、スーパーでも販売されたりしているようですし、「タコ足ホットドック」も人気だということです。

この先、タコの価格について「津久勝」の津久浦社長は、「6月下旬に、モーリタニアから冬の漁獲分が届くが、2023年の3分の1程度の量。高値はこの先も続く見込み」だとしています。遠回りしなくてはいけない影響で日本に届くまでに3か月ほどかかるため、冬の漁獲分が今届くということです。

宋美玄さん:
スペインの郷土料理にもタコが入っていますから、欧米人もタコの美味しさに気づいてしまったのでしょうか。

山内キャスター:
「ドジャー・スタジアムでもたこ焼き」というニュースもありましたよね。

日比キャスター:
日本の食をどう守っていくのか、課題がたくさんあります。

宋美玄さん:
たこ焼きに優先してタコを回していただかないとですね。

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<プロフィール>
宋美玄さん
産婦人科医 2児の母
女性の健康などのテーマを発信し、女性の性に関する著書が人気

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