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外国人観光客が増えた今、日本で大量に免税品を購入する姿も見かけるようになりました。その一部はインターネットなどで転売されているとみられています。その転売をめぐって4日、大阪のドラックストア『ダイコクドラッグ』の運営会社が約3億円、追徴課税されたことが分かりました。転売する側ではなく、販売する側が罰せられた形ですが、どういうことなのでしょうか。


■転売目的客に免税販売30億円か

一般的に免税とは、外国人観光客が免税店で買い物をする際、パスポートを提示することで、消費税などの税金が免除される制度です。免税を受けるためには5000円以上の購入が必要となり、客単価が上がるため、店側としてもメリットがあります。

ただ、この制度の悪用が今回の問題点です。ダイコクドラッグは、免税品の販売に必要なパスポートなどの確認を怠り、手続きが不十分なまま商品を販売していました。2021年までの2年間で、その額は約30億円に上ります。

購入者がそのまま本国に持ち帰っていれば問題はありませんが、実際は専門業者によって日本国内で転売されていたとみられています。転売業者は消費税10%を払っていないので、国は3億円の税収減です。ダイコクドラッグには、その分が追徴課税されたことになります。

親会社『ダイコク』
「指摘を真摯に受け止め、適正な免税販売に努める」

大阪国税局が今回指摘したのは、コロナ禍の影響で訪日客が激減していた時期です。人と物の動きが制限されていても、転売の動きが減ることはありませんでした。法人の消費税をめぐる追徴税額は、去年6月までの1年間で1357億円に上り、一部はこうした不適切な免税販売が原因とされています。

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■不適切な免税販売 スキームは

■不適切な免税販売 スキームは

転売事情に詳しい人物は、スキームをこのように説明しています。

“転売事情”を知る人物
「2010年代にはやったiPhoneの転売問題の時と今も変わっていない。SNSで応募してきた観光客を羽田や成田、関空でピックアップして、そのまま買い子として車で店に送る」

転売は組織的に行われているといいます。

“転売事情”を知る人物
「店の前で金を渡し、指定した商品を購入させ、すぐに商品を受け取り、購入額の5%ほどをギャラとして渡す。1人あたり数店舗を回って(購入額は)100〜150万ほどなので、5万円程度が買い子の取り分」

SNSを見てみると、免税店で商品買って回るアルバイトの募集はすぐに見つけることができました。

中国のSNS
「東京で買い物できる人募集 日給1〜2万円」
「原宿で並んで3時間5000円」

ただ、お店で買う時にその場で免税される制度は、本来の購入者にとっては非常に便利なものでした。

カタールから来日した人
「(Q.日本の免税システムはどうか)とてもシンプルです。パスポートを持参すれば免税され、便利です。他の国は、払った税金を空港で回収し、手数料を取られます。日本のシステムは完璧だと思います」

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■不適切な免税にならないよう対策も

■不適切な免税にならないよう対策も

ビックカメラは、不適切な免税販売を防ぐため、独自のシステムを導入しました。転売目的の場合、複数のお店で同じ物を買うため、レジ情報を共有するなどすれば防げるといいます。

ビックカメラ有楽町店 野方祥恵さん
「免税の会計の際にパスポートをスキャンするが、過去に転売されている可能性がある商品を購入しているとアラートが出る。普通に買いたいお客様の手に商品を届けたいという思いが一番。一定の人が大量に買ってしまうことを防ぎたい」

免税は日本だけの制度ではありません。国によって様々ですが、例えばフランスやドイツ、シンガポールなどでは購入時に免税はせず、空港で書類を提出して返金してもらう“払い戻し型”が採用されています。リファンド型と呼ばれる免税制度です。

日本の国税庁は現状について「輸出物品販売場制度を悪用した不正事案について、特に厳正な対応が必要と考えており、税関当局と緊密に連携しながら、制度の適正に努める」とコメントしています。

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■観光客に便利“性善説”を悪用

■観光客に便利“性善説”を悪用

消費税は“国内で消費されるもの”にかかる税金です。訪日観光客が“外国に持ち帰って消費する”ものに関しては対象外になります。そのうえで、今の日本の仕組みはこうなっています。

訪日外国人が免税店で買い物をする時、消費税分などを割引いた金額で購入できます。購入した履歴データはパスポートに紐づけられ、出国時に日本で消費したのではなく、本当に海外に持ち出すかどうかを、旅券を提示して確認する仕組みになっています。

ただ実際には、海外に持ち帰らずに、消費税分が安い免税品を日本国内で転売。差額を利益にする行為が後を絶たないのが現状です。

国税庁OBで中央大学法科大学院の酒井克彦教授に聞きました。

酒井克彦教授
「訪日外国人・政府にとって簡便なため、このシステムが採用されてきた。いわば“性善説”に立っていて、逐一、税関検査を行っていない。一方で近年、政府は観光立国を推進し、免税店・対象商品の範囲も増やした。これを悪用する外国人が増え、税金を回避できる国と認識されているのではないか」

政府も対策に乗り出していて、欧米で主流の『還付方式』に見直す方向だということです。つまり、訪日客は免税店でいったん消費税などを含めた価格を支払って、帰国の際に空港で旅券を提示。確認後に税金分を返金する形になる方向です。年内に制度を固め、来年度以降の実施を目指すということです。

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