町のお弁当屋さんが具材の値上げでピンチです。「のり弁」になくてはならない「のり」も4割値上がりし、400円の壁を超える苦渋の決断を迫られています。
■6月から600品目値上げ のりも…
東京・港区麻布十番にある「きのくにや」 この記事の写真東京・港区麻布十番にあるお弁当屋さん。お昼時には、次々と客が訪れます。
客「多い時は週2、3日は利用しています。種類も多いと思うし、おいしさが抜群かな」
「おいしいと思う。場所柄もっと(高い値段が)してもおかしくないと思う」 お手頃価格がウリも…
お手頃価格がウリのこの店。毎月、悩まされているのが食材の値上げです。
きのくにや 濱田安宏オーナー「毎月毎月なんかしら値上げの情報が入ってきて、またかまたかというような状態が続いています」 「加工食品」や「菓子」など614品目値上げ予定
値上げの波は今月も続いていて、「加工食品」や「菓子」など、その数はおよそ600品目にも上ります。
「のり」の値上げなかでも店主が気を揉んでいるのが、おにぎりや弁当などで多く使うのりの値上げです。
濱田オーナー「4割ぐらい、去年の頭に比べて段階的に上がっています。食材の中でも値段は安定しているものだったが、今回バタバタと上がってしまって、コスト的には逼迫(ひっぱく)したような状態」 のり弁当 380円→450円
のりを含めた食材の高騰に耐えきれず、4月にはすべての商品を2割近く値上げ。店の弁当の中で最も安いのり弁当は、380円から450円になりました。
濱田オーナー「一番リーズナブルな400円以下(の弁当)というのは、のり弁当だけだったので。それが400円を上回るというのは、大きな決断でした」 「400円の壁」超える物価上昇
守りたかった「400円の壁」。それを超えざるを得ないほど、物価が上昇しています。
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■プランクトン増殖 のり不作に…■プランクトン増殖 のり不作に…
一大産地・有明海での異変のりの値上がりの背景にあるのが、一大産地の九州・有明海で起きている異変です。
佐賀県有明水産振興センター担当者
「有明海では、(のりが)プランクトンと海中の栄養塩を競合している(奪い合っている)が。プランクトンがかなり増えてしまっていて、のりにいってほしい栄養塩がプランクトンの方にいってしまう」 栄養が回らず色落ち相次ぐ
冬に暖かい日が続いたことで、プランクトンが増殖。その結果、のりに栄養が回りきらず、色落ちの被害が相次いだといいます。
乾ノリの共販枚数と平均単価市場に出回るのりの量は、去年と同様に今年も少ないままで、価格の高騰を招くこととなったのです。
のり漁業者「例年と比べ約6〜7割」 有明海ののり漁業者海苔太郎さん
「去年にしても、今年にしても、数年前では考えられないぐらいの生産枚数でしょうね。だいたい6割〜7割ぐらい、例年と比べて。最高品質ののりを追い求めているので。自然が相手というのは自分の力でどうしようもないじゃないですか。やっぱり、歯がゆいというか」
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■具材だけでなく…弁当容器は2割値上がり■具材だけでなく…弁当容器は2割値上がり
商品値上げも安心できずお得で一番売れているのり弁当にまで押し寄せる、値上げの波。弁当店の店主は商品の値上げをしても、安心はできないと話します。
濱田オーナー「4月に(弁当の)値上げをしたが、4月も5月も(原材料費が)値上げして、いたちごっこみたいに、(弁当の価格を)上げても、食材が上がる傾向が続いている」 ボリューム満点「ごちそうボリュームのり弁当」
のり以外にも、上がり続けているという原材料費。様々なおかずが詰まったボリューム満点の「ごちそうボリュームのり弁当」を例に見てみると、1年前と比べて、のりが4割値上がりしたほか、唐揚げやメンチカツに使われる肉全般が2割。米が1割。キャベツにいたっては、3倍近く値上がり。弁当の容器も2割ほど価格が上がったといいます。
やむなく…600円→680円企業努力によって価格を維持してきましたが、この弁当もやむなく80円の値上げに踏み切りました。
さらに、電気料金の値上がりも控えていて、不安は尽きませんが、満足感のある弁当の質を下げることはないといいます。
きのくにや 濱田安宏オーナー 濱田オーナー「このクオリティーで、この量で納得して買っていただいてるので。『ご飯減っちゃったな』とか、『おいしくなくなった』とか、あり得ない話。お客様にすべてを転嫁するわけにはいかないので。企業努力は必要になってくると思います」
(「グッド!モーニング」2024年6月4日放送分より)
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