今年3月、メタンガスによる爆発事故が起きた万博会場の工事現場で、新たに『パビリオンエリア内』の4カ所でメタンガスが検出されていたことが分かりました。

■建設中のトイレでガス爆発事故

ことし3月、大阪・関西万博の会場となる夢洲の西側で建設中のトイレで、溶接作業中に火花が地中にたまっていたメタンガスに引火して爆発し、コンクリートの床が破損しました。

■事故があったエリアはもともと「産業廃棄物の処理場」

爆発事故が起きたのは、屋外イベントが行われる広場などができる「グリーンワールド」という緑地エリア。

このエリアはもともと産業廃棄物の処理場で、地下にはメタンガスなどの可燃性ガスが溜まっていることがわかっていたため、溶接作業をする際には、事前に換気を実施し、ガス濃度が基準値未満であることを確認していました。

■床下の空間はガス濃度の確認などの対象外だった

しかし、施工業者が地上で作業する際は、床下の配管が通る空間はガス濃度の確認や換気の対象外と認識していたため、メタンガスの濃度が高いまま作業が行われていたということです。

■パビリオンエリアでも4カ所でメタンガス検出 基準の4分の1以下 工事継続

この事故を受けて、博覧会協会は会場全体での安全を確認するため、多くのパビリオンや施設が立ち並ぶ「パビリオンワールド」についても調査を実施。

去年7月から建設作業員の酸欠防止のために定期的に測定していた酸素やメタンガス濃度のデータを見直したところ、計測地点260か所のうち4カ所で、メタンガスが検出されていたことが分かりました。

検出されていた期間はことし1月から3月で、メタンガスの濃度は法令で「労働者の退避」や「火気等の使用停止」が定められている基準の4分の1以下でした。

現時点で、体調不良を起こした人などは確認されておらず、博覧会協会は、工事を継続する方針で工期にも影響はないとしています。

■当初「メタンガスの存在の可能性低い」とされたパビリオンエリア

また今回、当初「メタンガスが存在する可能性は低い」としていた「パビリオンワールド」からメタンガスが検出されたことについて、博覧会協会は「有機物が含まれる土地で低濃度のメタンガスが発生するのは、よく起こる事象だが、継続してモニタリング調査を実施し、結果を公表したい」としています。

■新たにガス検出エリアは「夢洲駅」付近 過去の調査でメタンガスの存在確認

一方で、今回メタンガスが検出されたエリアは、いずれも「パビリオンワールド内」にできる地下鉄の最寄り駅「夢洲駅」の工事現場の付近。

地下鉄の延伸工事を巡っては、大阪市が2020年に地質調査を行った際に、地下約20メートルに爆発の可能性がある濃度を超えるメタンガスが存在することを確認していて、爆発を防ぐための対策を講じていました。

■「メタンガスのリスクの認識なかった」と博覧会協会 市はガスのリスク公表も協会に個別説明はなし

これについて、博覧会協会は「大阪市から土地を借りる際に注意点を伝えられておらず、メタンガスのリスク認識がなかった」としていて、大阪市港湾局も「地下鉄の工事現場でメタンガスが存在した事実は公表していたが、博覧会協会に個別に説明はしていない」ということです。

■メタンガス検出の原因はわからず

今回検出されたメタンガスは、地下鉄工事に起因するものなのか。
博覧会協会は今後、メタンガスが検出された原因を調べるとともに、有識者の意見も踏まえて来月中に安全対策を取りまとめるとしています。

国内外から2820万人の来場が予想されている大阪・関西万博。

すべての人が安心して来場できる説明が求められます。

(関西テレビ 万博担当 沖田菜緒)

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