厄介者と呼ばれ捨てられていたものを食材として活用し海の環境をよくする取り組みが続いています。有明海の二枚貝を食べ、ノリの色落ちの原因として嫌われるエイの仲間アカエイを「食材」として活用しようと鹿島市に関係者が集まり試食会が開かれました。

ひらひらと優雅に泳ぐ姿…アカエイです。
日本全国に生息し、有明海では体長80センチほどのものがみられるといいます。
有明海ではプランクトンを食べ水をきれいにするアサリなどの二枚貝を食い荒らすため、ノリの色落ちの原因となっていて、漁業者からは「厄介者」と呼ばれています。

【試食会用アカエイを漁獲 森田政則さん】
「網の中に50匹近く入っていました。大きいやつは20キロ近くあったので、すごい量でわれわれもびっくりした次第です」

沖合に生息するアカエイですが、5年ほど前から二枚貝を求め干潟などの浅瀬にも多く現れるように…関係者によりますと、1日に体重の3割ほどの貝を食べるといいます。
アカエイの食害が有明海のアサリの漁獲量が、年間約270トンと40年前の0.3%以下になった一つの原因とも言われています。

【リポート・堀竜泰】
「これがアサリなどの二枚貝を食べ、有明海で厄介者と呼ばれるアカエイです。大きさは座布団くらいありますね」

実はこの厄介者のアカエイ。
東南アジアでは一般的な食材として使われているほか、エイの仲間にはフランス料理のムニエルとなるものも。
厄介者を食材として利用することで、二枚貝の保全と一石二鳥に。
アカエイのおいしさを知り、「食材」として活用しようと、26日県有明海漁協が試食会を開きました。


独特のアンモニア臭がするため漁業者から捨てられるエイ。
実はビタミンやコラーゲンが豊富で、すぐに血抜きをし氷を混ぜた海水でしめることで、身や内臓、軟骨まで1匹丸々食べられます。

【丸魚水産 牧田稔部長】
「サメとエイは似たような感じなんですけど、魚の中でも害魚。駆除だけではなくおいしく食べてもらうことにクローズアップしてやっています」

試食会は関西の水産業者など6社が協力。
メニューは唐揚げやムニエル、煮つけや肝のなめろう軍艦など9種類です。

【丸魚水産 牧田稔部長】
「海のフォアグラと呼ばれる肝の軍艦をいただきます。あっさりしています、全然臭みないです」

試食会に訪れた人の反応は…
Q.どれが一番おいしかった?
【漁業者】
「なめろう」
「なめろうと唐揚げはピカイチ」

Q.普段エイが獲れたら捨てる?
【漁業者】
「捨てますね網とかやぶっちゃったりするので」

Q.今後エイの見方変わる?
【漁業者】
「変わりますね。もう食材の目になりますもんね」

Q.スーパーに並んでたら買う?
【関係者】
「この味だったら買いますね。おいしいので有効活用もなにもなんで食卓にあがってこなかったかが疑問なところ」

アカエイの意外なおいしさに大人から子供まで笑顔があふれ、山盛りにのせられたエイ料理が次々と消えていきました。

【県有明海漁協鹿島市支所 中島龍運営委員長】
「食べ方次第でこれだけおいしいとみなさんにわかってもらい、たくさんエイを食べてもらい、漁師の収入源になったらいいと思います」

二枚貝の復活。ノリの品質改善。そして漁業者の収入源。
厄介者「アカエイ」の今後の活用が期待されます。

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