追跡取材班が向かったのは、埼玉県川口市の住宅街で愛される創業37年のローカルスーパー。人気の秘密は、まずは野菜や果物の激安ぶり!安さの秘密の裏には、家族4世代の団結がありました。
さらに、創業122年を誇るローカルスーパー。品ぞろえだけでなく、他のスーパーにはない、個性派の総菜があります。
大手スーパーにも負けない!奮闘するローカルスーパーを追跡します。
■「生き残り策」家族の工夫と奮闘
創業37年のオオヤマ この記事の写真開店と同時に客が殺到するのが、埼玉県川口市の住宅街で愛される創業37年のローカルスーパー「オオヤマ」。人気の秘密は、まずは野菜や果物の激安ぶり。
常連客「ここ知っちゃったら他に行けない」
高値が続くキャベツが1玉162円。ピーマンは赤字覚悟の5個105円。キュウリも3本108円とお買い得。山積みのバナナは100グラム20円。こちら10本で、なんと247円と破格の値段です。
常連客「(合計)2317円。(他店より)2割3割安い」
「すべておいしい。果物も当たり外れがない」 手作り惣菜
もう一つの看板商品が、手作り惣菜。名物の焼きそばは、なんと141円。その他にも、チャーハンやポテトサラダなど100円台から200円台の総菜が並びます。
焼きそばを4個購入する常連客「安いから」 店主 大山義正さん(77)
この店を切り盛りするのが、大山さん夫婦。夫の義正さん(77)は15歳から市場に通う、まさに野菜のプロ。毎朝トラックで大量に仕入れた品物を懸命に運びます。
「オオヤマ」店主 大山義正さん「10キロまではまぁまぁだけど、玉ねぎの20キロはキツイ」 妻の澄子さん(75)
妻・澄子さん(75)は総菜担当。毎朝6時から7種類の総菜を一人で作ります。
一番人気は、たっぷりの野菜で作る「焼きそば」で、飽きの来ない家庭の味が人気の秘密です。ポテトサラダは、ジャガイモを潰しクリーミーに、仕上げのこだわり、最後に卵もトッピングします。
長女の道代さん(53)そんな両親を支えるのが長女の道代さん(53)。接客などを担当します。
大手チェーン店が次々と開店1987年に夫婦で始めたこのスーパーですが、15年ほど前から大手チェーン店が次々と開店し、今では6店にも…。一時、売り上げは半分になったといいます。
義正さん「競争はね、近くに大手スーパーがあるから、自分が生き延びるためですよ」
そんな「生き残り策」の裏には、家族の工夫と奮闘がありました。
新聞広告でライバル店の価格をチェック毎朝、義正さんは新聞広告でライバル店の価格をチェックします。「他店より1円でも安く」赤字覚悟のその日の目玉商品が欠かせません。
義正さん「近くのスーパーで148円ピーマン。うちで98円(税込み105円)もう終わっちゃった」
5個105円の特売ピーマンは、すぐに売り切れになりました。
店のチラシ店のチラシには毎日、目玉商品が数品、土曜日は特売セール。さらに「50円割引券」もついています。実は、このチラシも、長女・道代さんの手づくりで、新聞広告もやめました。
道代さん「(新聞広告は)あまりにもコストがかかるので、来たお客さんに配ろうと」
そして、高齢者の家や保育園、介護施設などに配達して売り上げを支えています。
毎日、店に立ち続ける父に対し、道代さんは「やりたいと思っている以上はやらせてあげたい。一生懸命、頑張ってきたお店だから」と話します。
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■GWの特売…家族4世代で臨む■GWの特売…家族4世代で臨む
午前4時、ゴールデンウィーク土曜日の特売に向け、義正さんは市場へ。狙いは、目玉商品になる野菜と果物です。
タケノコこちらが、旬で割安だというタケノコ。40年以上のつきあいもあり、1本100円で仕入れることができました。
義正さん「社長が安くしてくれた。半値以下でしょ、いつもの」 メロン
出始めのメロンも、通常より3割以上安く仕入れました。特売にふさわしい目玉になりそうです。
一方、長女の道代さんは野菜以外の仕入れに向かいます。買い付けのモットーは「笑顔と粘り」です。
刺し身用の冷凍甘エビ冗談や世間話も交えながら交渉します。「通常よりは下げられない」と言われますが、これならと奥から出てきたのが通常580円という刺し身用の冷凍甘エビです。道代さん、とぼけながら相手にプレッシャーをかけて交渉成立。なんと3分の1の値段になりました。
迎えた土曜、特売日の朝は、家族が次々と集結します。近くに住む長男・博之さん(51)、そして道代さんの息子の妻・絵美さん(33)、さらに義正さんにとってひ孫も駆け付けました。家族4世代で特売に臨みます。売り上げ目標は45万円です。
急きょ、ジャガイモ詰め放題を行うことにすると、司令塔の義正さんが運んできたのがジャガイモ。この日の朝、安く大量に手に入ると聞き、急きょ、ジャガイモ詰め放題を行うことにしました。
妻・澄子さんは、自慢の総菜を並べます。ひ孫たちは、商品を並べたり、かわいい手書きのイラストをPOPに貼り付けます。
大盛況遂に10時のオープン。作戦通り250円のじゃがいも詰め放題は大盛況です。皆さん、袋からあふれてますが、これはセーフ?
道代さん「大丈夫。楽しんでもらえれば」
タケノコは、この大きさで214円。そして、378円のメロンにお客さんも…。
常連客「安い、買おうかな」 ほぼ目標に到達
家族一丸となり、お客さんをおもてなし。その結果、売り上げは43万円と、ほぼ目標に到達しました。
道代さん「(店は両親の)元気の元なので、無理のない程度にやっていただきたい。その手助けをできればいいかなぁって思って」
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■こだわりは、朝どれの新鮮な魚■こだわりは、朝どれの新鮮な魚
スズキヤ続いて向かったのは、神奈川県の逗子駅の目の前にある「スズキヤ」。創業122年を誇る地域に根差したローカルスーパーです。
常連客「いいですよ、肉も魚もいいと思います」 朝どれの新鮮な魚
皆さんのお目当てが、今がおいしい塩焼きに合うカマスやホウボウやメバルなど、朝どれの新鮮な魚が並びます。さらに、近くの三浦直送のコダイも1000円以下です。
常連客「キジハタ、おいしいです。身がぷっくりしてて。小坪(漁港)のは毎日買う」 小坪漁港
この日の朝、スタッフが向かっていたのが、店から車で10分の距離にある小坪漁港です。
地元の漁師「サザエ、カワハギ、メバル、カサゴ、ハタ」 スズキヤのスタッフ
「しっかり形のいいものもらえた」 こまめに情報を共有
店と地元漁師がこまめに情報を共有し、買い付けています。サザエは1個およそ350円。カワハギは1匹およそ1500円。無料で捌いてもくれます。
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■「日本一の総菜」300点以上が並ぶ■「日本一の総菜」300点以上が並ぶ
逗子周辺に11店舗実は、この「スズキヤ」は逗子周辺に11店舗あり、各店舗がそれぞれ個性を生かし、大手に負けない店づくりをしています。
新杉田店のこだわりは、「日本一の総菜」だといいます。総菜・弁当コーナーには和・洋・中をはじめ、オリジナル商品を中心になんと300点以上が並びます。
名物の「ジャンボアジフライ」は181円です。
常連客「どれにしようかぐらい、いっぱいある」
「電車賃を使ってでも来る」 「お弁当・お総菜大賞」で日本一
人気の秘密は、品ぞろえだけでなく、他のスーパーにはない個性派の総菜です。日本全国のスーパーなどの総菜・弁当から日本一を決める「お弁当・お総菜大賞」で日本一となったのが、この「鮭と彩り野菜の茶々のり弁」734円です。さらに、世界三大珍味の一つ、フォアグラが入った贅沢な春巻きに、おくらやズッキーニなどたっぷり野菜と頂く、ヘルシーな焼肉丼など、12年連続で受賞しています。
「茶々のり弁」は、累計30万個以上売り上げるなど「スズキヤ」の名前も全国区に。しかし、なぜ次々とヒット商品を生み出せるのでしょうか?
(左)中戸川麻生子さん(66)その秘密を知るのが、「茶々のり弁」を開発した中戸川麻生子さん(66)。実は、社員ではなくパート店員です。「メニュー開発にも現場の声を生かしたい」という呼び掛けに提案したのが、あのお弁当。
中戸川さん「女性や年配の方に食べてもらいたい」
いいアイデアは誰でもOK、すぐに開発へ。すぐ実行できるのもローカルスーパーの強みです。
ご飯には、まず昆布茶の粉でうま味を。さらに白ごま、かつお節、昆布の佃煮(つくだに)、揚げ玉。そして、ひと手間かけ、大きなのりを20枚にちぎり、食べやすくしました。
中戸川さん「のりが大きいと箸をさしてても食べづらい」
最後に、具は贅沢に盛り付けます。一口サイズの5種類の煮物に、3種類の天ぷら、メインのサケは大き目に。骨は抜いています。
中戸川さん「ちょっとずついろんな物を食べたい」 お茶漬けに変身する二刀流
このお弁当の最大のこだわりが、半分残して、お湯を注ぐと絶品のお茶漬けに変身する二刀流です。
中戸川さん「自分がお茶漬けが大好き」
「いまだに売れているのが、うれしいです」
地元に根差してきたローカルスーパーの挑戦は続きます。
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