宮崎県都農町では現在、地元水産業の未来を担う高級魚の養殖に取り組んでいます。その魚と都農町の挑戦についてお伝えします。
やって来たのは港のすぐ傍にある養殖場。中に入ると…
「こんにちは。よろしくお願いします。ここでは何の養殖をされているんですか?」
(つの水産振興・加工品開発協議会 三輪将也さん)
「ここではタマカイという魚の養殖をしています」
タマカイ…?
(つの水産振興・加工品開発協議会 三輪将也さん)
「一般的に流通が少ないと思うので希少価値はかなり高い魚だと思います」
タマカイは、南西諸島や沖縄周辺などあたたかい海域に生息するハタ科の魚で、体長は大きいものは約3mまで成長します。
都農町は、このタマカイに着目。新たなブランド品を生み出そうと、「水産業夢未来プロジェクト」と題し、大学やNTTと連携して、去年3月から試験養殖をスタートしました。
(都農町産業振興課 黒木啓さん)
「完全閉鎖循環式陸上養殖という自然環境に左右されない養殖方法で、海水ではなくナトリウムなど成長に必要な栄要素が入った『好適環境水』で養殖されています。」
今年2月の中間発表では…
(都農町 坂田広亮 町長)
「都農町ならではの特産品の開発を、地域の皆さまと一緒に進めてまいりたいと考えています」
およそ9カ月間の養殖結果、タマカイは順調に成長していることがわかりました。
そして気になるタマカイのお味は…
(今栖那菜記者)
「それではいただきたいと思います。白身の上品な旨味が口いっぱいに広がります。あっさりしているのでいくらでも食べれそうです。」
現在タマカイは2キロほどに成長、出荷できるサイズになりました。養殖を担当する三輪さんは…
(つの水産振興・加工品開発協議会 三輪将也さん)
「成長を実感しているというか、子供のような感覚で見ています。顔も可愛いので、意外と愛着が湧いてしまう」
今回の養殖プロジェクト。背景には水産業の衰退という大きな問題がありました。
(つの水産振興・加工品開発協議会 三輪将也さん)
「漁業がもう担い手がいなくて跡継ぎがいないんですよ。このままでは水産業がどんどん衰退していく一方なんで…。まずはその一歩としてタマカイ。今僕らがやってるのが10工程のうちの1工程くらいだと思っている」
都農町によりますと、およそ40年前に110人いた正組合員は、漁師の高齢化や担い手不足などで年々減少。このままのペースでいくと、2028年までに漁協解散という事態も想定されています。
こうした状況を打破するために打ち出された「水産業夢未来プロジェクト」。都農町では今年度中にタマカイの出荷をスタートさせ、水産業の活性化に繋げたい考えです。
(都農町産業振興課 黒木啓さん)
「この魚を使って、どうやって都農町のブランドとして売っていくかというところで、まずはふるさと納税などを使って販路先を見出していきたい。タマカイが都農町の水産業の新たなブランドとして、今後の軸となっていく存在となっていけばいいかなと」
(つの水産振興・加工品開発協議会 三輪将也さん)
「ずっと僕もこの町で育ってきたので、港がどんどん錆びれていくのが僕としても悲しい。そこを盛り上げる仕事を今やっている実感はあるので、成功するように頑張っていきたいなと思います。」
(都農町産業振興課 黒木啓さん)
「これからの「夢」だと思っています」
(つの水産振興・加工品開発協議会 三輪将也さん)
「都農町といえば『タマカイ』と言われる存在になってほしい」
都農町の水産業の未来を担う「タマカイ」。新たな挑戦は始まったばかりです…。
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