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新型コロナが5類に引き下げられてから1年が経ちました。

就職して5年目の私は“卒業旅行を断念した”世代。
大学を卒業した時期は、ちょうど新型コロナの流行りはじめでした。
「海外に行って感染したら働き始めることができないのでは」と夢だった海外旅行を諦めました。

今、海外に自由に行けるようにはなりました。私自身も韓国に行き、友人が連休中に海外旅行に行ったりワーキングホリデーに行ったりする様子をみて、気になったのが「この1年で同年代はどのくらい海外に行ったのだろう」ということでした。
(テレビ朝日デジタルニュース部 大場美優)

渋谷駅前で20代の人に聞いてみたら…

観光庁「ツアーセーフティーネット」調べ この記事の写真

観光庁「ツアーセーフティーネット」の調べによると、2023年に海外旅行に行きたいと思った若者は全体の4割ほどでした。
この調査から1年ほどたった今、実際にどのくらいの人が海外に行ったのでしょうか。

若者の街“渋谷”に行って20代の声を聞きました。

大学3年生 女性 
韓国に旅行に行きました。
買い物をしたり、ご飯を食べたりしました。 社会人 男性
行っていないです。
行く機会がありませんでした。 32人に話を聞いた結果…
海外に行った人 7人
行っていない人 25人(うち19人は興味はあるが行っていない)

行っていない人のなかでも「興味はあるけれど行っていない」という人は19人いることがわかりました。

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「海外に興味はあるが行っていない」の理由は?

「海外に興味はあるが行っていない」の理由は?

渋谷で話を聞いた32人中19人が「興味があるけれど行っていない」と答えました。その理由を詳しく聞いてみました。

大学3年生 男性
興味があるけれど、あと一歩が踏み出せないという感じです。
(その一歩はどんなところですか?)
言語の面。実際に活用できるかが不安です。
環境が全く違うところに行くので、その場に慣れるのが怖い。 「仕事などをメインでやってたので…」社会人3年目の女性 社会人3年目 女性
仕事などをメインでやってたので、外国に行くとはならなかったです。

20代は大学の授業や就職したばかりで仕事に集中する時期でもあるので、海外に意識が向きづらいようです。
言語面の不安や自分の生活が忙しいというなか、目立ったのは“お金”についての意見でした。

大学4年生 女性
(海外に)行っていません。
普通に海外に行くお金がないです。 「資金面で心細いです」大学3年生の男性 大学3年生 男性
(海外に)行っていないです。
まだ大学生なので資金面で心細い部分があります。 社会人4年目 女性
(お金が)高いから国内で我慢しようかなと。
(将来は海外に行ってみたいですか?)
お金が貯まったら。円安とかもあって(海外は)高いとニュースなどで見るので、なおったら行きたいと思っています。 「交通費が高いから日本で遊んだほうが…」社会人の女性 社会人 女性
(海外に行っていない理由はなんですか?)
交通費が国内まわるより高いから。
それなら日本で遊んだほうが楽しいかなと思っています。

大学生や働き始めたばかりの人が多い20代からは金銭面で躊躇しているという話が多く聞かれました。急激な円安の影響もあってまだまだ気軽に行けるようになったとは言いづらいようです。

一方、こんな意見もありました。

日本での“推し活”で十分!?海外への意識にも影響

興味がない人や、あっても行っていない人のなかには“若者”らしい意見もありました。

「今は趣味に没頭中」社会人の男性 社会人 男性
(行っていない理由は)趣味に没頭しているので。 社会人 女性
あまり遠くに出たくないです。日本でいいかな。
(海外に行く優先度は低いですか?)
低い。(推している日本のアイドルの)ライブに行くことが生きがいなので。
(もし推しが海外公演したら行きますか?)
絶対行く!

若者の海外渡航は、本当に減っているのか。専門家に聞きました。

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海外旅行は「贅沢な、高級ブランド品を買うような感覚」

海外旅行は「贅沢な、高級ブランド品を買うような感覚」

航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗さん 新型コロナ5類移行後に海外に行った若者の数はコロナ前に比べてどうですか?

航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗さん:
減っています。
大学の講義で学生にアンケートを取ってみたのですが、行きたいという希望を持っている子たちもいる一方、円安を含めて今のバイト代やお小遣いだけでは厳しいという子が多かったのはまずあります。

ワーキングホリデーに関しては、基本的に学校を卒業してから行く人のほうが多いので稼いでいるという話は聞きます。統計がとれているわけではないので何とも言えないですが、すごく増えている感じはないですが、現地での賃金が日本に比べて高いことから、オーストラリアなどを中心に一定数いるなという感じもします。
ただ、現地での滞在費が高い旅行と留学が減っているのは間違いないです。

日本政府観光局から毎月発表されているアウトバウンド(日本から海外に行く人)の数を見ている限りでしか今は判断できませんが、減っているのは大学の学生や教員へのヒアリングの限りだと間違いないかなという感じです。

4月の日本人の出国人数を見ても2019年と比べてマイナス46%と、コロナ前の5〜6割しか戻っていない。そういうことを見てもコロナが5類に移行した後でもやはり厳しいかなというところはあります。 ゴールデンウィーク前半の成田空港 2024年4月 海外に行く若者が減った要因はなんですか?

鳥海さん:全てにおいて円安と物価高です。
これが進んだことで海外に行くにはコロナ前の1.5〜2倍ほどのお金がかかります。

若い人の海外旅行離れはコロナ前からあった話ですが、 コロナの間で海外旅行にいかないというのが普通になってしまったので、海外へ出かけて見聞を広めることに対して何も思わないから行かないという若者も多いです。

今でも海外で新しい発見がある一方、インターネットである程度見れてしまうことができることもあり、それによって行きたくなる人もいることはいますが、それほど海外に対して憧れを持っている人が減ってきたかなというのはあります。

今回コロナが終わって、高いけど海外に行っているという人がいるのも事実ですが、そこまで高いお金を払ってまで行くかという部分はあるのではないでしょうか。

昔は安いから旅行に行こうというのが結構ありましたが、今は旅行費用が上がっているので、全くなくなりました。
もう贅沢な、高級ブランド品を買うような感覚ですね。

若者の「経験したいという気持ちに対して払える金額が度を超えている」

鳥海さん:学生の中には、行きたい気持ちはあるけれど、今は難しいから自分で働いて給料を得たらいけるのではないかという意見もあります。

学生のうちに海外に行くのは難しく、社会人になって給料が上がれば行きやすくなるのではないかという感じはします 。卒業旅行でも高いから海外に行こうという気持ちにならないという学生も結構いて、食費とか、常に節約を考えて旅行しなければいけないのが嫌だという人もいますね。

海外に行きたいと思っても、旅行に行くと一気にお金が無くなっちゃうという感じも含めて特に若い人は金額的な部分が追いつかないです。

海外に憧れを持っている人も一定数いるのは事実ですが金額がかなり高いので、経験したいという気持ちに対して払える金額が度を超えているという難しさはあります。
「安いから出かける」という一つの旅行の要素が消えたのは意外と大きかったですね。 今後の若者の海外渡航はどうなっていくと思いますか?

鳥海さん:もう少し円高に振れないと、今の若者の財政状況である限りは海外に行くのはなかなか難しいのではないかなと思います。

簡単に海外に遊びに行くというのは難しいし、留学もお金がかかるので、若い人が海外に出られるような仕組みを大学や国や航空会社などにサポートしてほしいと思います。 この記事の写真を見る
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