人手不足の中、お客さんが自ら会計する「セルフレジ」が、4年で3倍に増えています。
7月3日の新紙幣発行に合わせレジを更新する店が、「セルフレジ」を選ぶことも予想され今後さらに数を増やす見通しとなっています。
いま知っておけば慌てない!最新レジ事情を「指認証」「カート型」「ゆっくり」の3つのキーワードで見ていきます。

財布もカードもスマホもいらない!「指認証レジ」

埼玉・越谷市にあるスーパー「東武ストア」では、より簡単に会計できるセルフレジを導入しています。
THE TIME,マーケティング部の重松文がレジを取材していると…
「3本の指をかざすだけでお支払いができています」とびっくり。

お客さんは、財布もスマホも出すことなく、レジ横の小さな“機械”に手をかざすだけで会計を終えました。
一体、どのようなシステムなのでしょうか。

このお店が導入したのは、「指静脈認証レジ」。
静脈のデータと合わせ、名前や年齢、クレジットカード情報などを登録しておけば、3本の指を機械にかざすだけで支払いができるシステムです。現金やカード、スマホを出す必要はありません。

利用者からは、「指だけで出来るのですごく便利です。 ポイントも一緒につくので」と楽になったという声が上がりました。

指認証レジのもう一つの魅力は、「スピーディー」。
お酒を購入するときも、年齢を登録してあるため店員が確認する必要はありません。

実際にお酒を含めた買い物にかかる時間を計測したところ、一般的なレジで1分29秒。
一方、指認証レジでは49秒。約半分の時間で会計を済ませることができました。

ちなみに、静脈は指紋よりも変化しにくいため、大人は一度登録すればOK。
(※注 18歳未満の方はご登録できません。)

カートで「運ぶ」➡カートで「払う」新時代に!

九州発のハイテクスーパー「トライアル」にあるのは、セルフレジ機能が付いた最新カート。それぞれのカートに、モニターとバーコードを読み取る機能が搭載されています。

スーパーセンタートライアル長沼店 庄内優斗 店長
「商品をスキャンして、そのままカゴに入れていただいて、最後に専用のレジを通って買い物が完了するカートとなっています」

プリペイドカードを購入すれば、商品をスキャンしてカートに入れるだけで支払いも完了。商品を選びながら会計する、レジと一体化したカートなのです。

お客さんに使い勝手を聞いてみると、「お買い物が全部、楽なんです」 「やりやすいです。細かいものをたくさん買うので、ここで会計が済んでしまう」との声が。

実際に重松も使ってみると…
ほうれん草は、パッケージ裏側のバーコードをカートの読み取り機にかざすだけ。
しかし、キャベツは…
「これ、どうすればいいんだろう。バーコードがないんですけど」

そんな時は、カートについたタッチパネル式のモニターを操作。

「バーコードのない商品」の一覧から、買いたい商品を選ぶことができました。
さらに、スキャンし忘れた商品をカートに入れた場合は・・・
「画面をご確認ください」
とAIが音声と画像でお知らせしてくれるんです。

最後に専用ゲートでチェックを受けたら、お会計は完了。

このお店でカート型レジを使っているのは、ほとんどが50代以上だといいます。
一般的なセルフレジでは、商品を一つ一つ読み込む際に、並んでいる後ろの人が気になって焦ってしまうこともありますが、このカート型レジなら自分のペースでOK。
世代を問わず簡単に使えるシステムの導入で、お客さんの来店頻度が14%上がったほか、お会計時間も74%減少したということです。

レジなし10秒会計のスーパーも登場

“10秒で買い物ができるスーパー”とも呼ばれているのが、横浜市にある「CATCH&GO」。店の出入り口に、自動改札機のようなゲートがあるのが特徴です。

クレジットカード情報を記録したQRコードをかざして入店し、商品を選んだら、お店を出るときに自動決済されるシステムなのですが、なぜ、レジを通さなくていいのでしょうか。

その秘密は、天井にあるカメラと商品棚の重さを計るセンサー。手に取った商品を検知できるのだといいます。

レジがどんどんスムーズに進化する一方で、セルフレジに苦手意識を持つ人も…。
街で聞いてみると、「不安 できるかな、ドキドキ」「自分でやるのが面倒臭い」との声が。

さらには、「次の人が待ってると思うと慌てて焦っちゃう」

そんな悩みを逆転の発想で解消したレジが大きな話題となっています。

逆転の発想で人気!「ゆっくりレジ」

福井市にあるスーパー「ハーツ志比口店」には、複数あるレジの中で唯一行列ができるレジがあります。そこに書かれていたのは、「ゆっくりレジ」の文字。

どういうものなのか、店長に聞いてみました。

ハーツ志比口店 加藤聖大 店長
「会話をしながらゆっくり自分のペースでお会計ができる場となっております」

この日、「ゆっくりレジ」を利用していたのは、小さな子どもとお母さん。
子どもが商品を渡すと店員さんは…
「ありがとう」と受け取りお会計。
会計が終わった商品を再び子どもに「これどうぞ」と言ってゆっくり手渡しました。

別のお客さんの会計時には…
お客さん:「2割引きの券もらえる?」
店員さん:「2割引きの券 私取りに行ってまいります。大丈夫ですよ」

「ゆっくりレジ」では、お客さんとコミュニケーションをとりながら丁寧にきめ細やかなサービスで対応していることがわかります。

ベビーカーを押しているお客さんには…
店員さん:「(カゴは)向こうまでお運びしますね」

お財布から小銭を出そうとしているお客さんには…
店員さん:「ゆっくりで大丈夫ですよ」

釣銭が重くなってしまいそうなお客さんには…
店員さん:「あと1円玉は2枚ございますか。3000と100と51円だとお釣りがきれいに出るので」

このレジでは、ゆっくり、ハッキリ、急かさない。
小銭なども一緒に確認してあげることで、お客さんも落ち着いて会計ができるといいます。

利用者からは、「子どもを連れているなら、ゆっくりレジを選びますね。店員さんともお話ができるので楽しいなと思って利用しています」との声が聞かれました。

この「ゆっくりレジ」には、お店にとってもメリットがあります。
一つ目は、自分のペースで会計したいひとは「ゆっくりレジ」に並び、急ぐ人は別のレジに並ぶため、お客さんの回転率がアップすること。
二つ目は、新人店員の研修も、ゆっくり、しっかりできること。
お客さんお店、両方にうれしいシステムとして、いま広がりを見せています。

ホームセンターのカインズでは、セルフレジ版の「ゆっくりレジ」を導入しています。
子どもに使い方を学ばせたいファミリー層から好評で、パーティションに囲われているので人目を気にせず自分のペースで会計することができます。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。